【3月7日、初顔合わせ】

 

 SHINGOさんと玖留巳さんが秋田市の秋田魁新報社で初顔合わせを行った。SHINGOさんは自己紹介の際、「世の中をワクワク、ドキドキさせたいというのが、生きていく上での俺のテーマです。ラッパーとして一生懸命言葉を紡いでいます。大阪・西成の街をアートで彩る『西成ウォールアートニッポン』という活動もしています。俺らアーティストは、枠に収まらずに、はみ出してなんぼ。大胆に、かつ繊細にやりましょう」と話した。

 玖留巳さんは「私の作品は花のモチーフを描いたものが多いです。花は見る人を幸せな気持ちにしてくれます。SHINGOさんのラップのパンチライン(強烈な印象を残す言葉)と花を組み合わせた作品をつくれたらいいなと考えています」とあいさつ。SHINGOさんは「俺たちの絵と言葉で、誰かが自分と向き合い、自分を発見するきっかけをつくりたい。ベターではなくて、ベストを目指しましょう」と答えた。

 

 

【3月26日、原画第1案提示】

 

 玖留巳さんがSHINGOさんにシャッターアートの第1案を提示。花のモチーフの上にSHINGOさんのラップの歌詞を書き込む構図を示した。

 これを見たSHINGOさんは、花びらの一部を翼のように大きく描き、絵の中に「大丈夫」という言葉を書き込むアイデアを提案した。「花びらが翼みたいに。『大丈夫』がみんなの翼になり、いろんな場所に飛んでいったり、いろんな挑戦をしたりする時のお守りになればいいですね!」とメッセージを寄せた。

 

 

【4月9日、原画第4案提示】

 

 玖留巳さんが、翼をさらに大きく描いた三つの原画案を提示。SHINGOさんは「ええ感じに仕上がってきましたね!」。

 

 

【4月13日、原画決定】

 

 翼と花がシャッター一面に広がる構図に決定。シャッターの前に立つと、その人の背中から翼が生えたように見える仕掛けだ。引きこもりや不登校の経験者、支援者、地域の人たちに翼を着色してもらい、最後にSHINGOさんがメッセージを書き込み、アートを完成させることになった。

 

 

【4月16日、下絵制作初日】

 

 玖留巳さんが下絵の制作を開始。シャッターを白く塗り、花のモチーフを描き込んでいく。昼過ぎに雨が降り始め、下絵制作は延期に。

 

 

【4月23日、下絵制作2日目】

 

 玖留巳さんが花のモチーフと背景を描き上げ、下絵が完成。

 

【5月1日、アート制作本番】

 

 「みんな幸せになるために生まれて、どこにでも行ける自由な翼を持っています。きょうは自由に表現して、それぞれの翼を再確認しましょう。生き方も、絵も、はみ出していい。Let’sはみ出しましょう」。シャッターアートの制作は、SHINGOさんのこんな呼び掛けでスタートした。

 「一筆目いきますよ。よっしゃ、これでどうや。みんなもどんどん描いて」。20人余りの参加者が見守る中、SHINGOさんは赤いペンキで笑顔を描いた。参加者も筆を持ち、ペンキを塗り始めた。花火や星を描く人、余白を無心に塗りつぶす人、SHINGOさんが描いた笑顔にまつげを描き足す人―。玖留巳さんが下絵として描いた輪郭線をはみ出し、翼はさらに大きくなった。

 夕方には地元の子どもたちが飛び入り参加。小学生はサインペンを使って、翼の上にサインを書いたり、動物を描いたりした。高校生は「みんな頑張って生きろ」と書き込んだ。「EVERYTHING WILL BE ALRIGHT(全てうまくいく)」「TRUST YOURSELF!(自分を信じて)」。翼はメッセージやイラストで埋め尽くされた。「誰やこんな所に落書きしたんは。俺の顔みたいや。めっちゃファニー(面白い)やん」。SHINGOさんは、こう言って参加者と笑い合った。

 最後の仕上げにSHINGOさんが大きく書いたメッセージは「みんなちがっていいべ だから大丈夫」。「いつもの俺だったら『みんな違っていいやん』という言葉を使うと思う。でもここは秋田やから、『いいべ』にしました」と語った。

 SHINGOさんは文字を書き込みながら、参加者に「シャッターに描くのは初めてやけど、俺はチャレンジした。こんな俺でもやったらできる。だから、みんなもやればできる」と呼び掛けた。

 完成した絵の前でSHINGOさんは語った。「この絵にいろんな色が使われているように、いろんな生き方があっていいと思います。いろんな価値観や生き方が集まって街ができています。だから、その一員として胸を張って進んでいきましょう」

 

 


玖留巳

1997年秋田市生まれ。高校卒業後、ハーブの一種「ヘナ」を使って腕などに模様を描く「ヘナタトゥー」の図柄に興味を持ち、独学で創作活動を始める。東北各地で壁画制作やライブペイントなどの活動を展開。2020年からは県内の特別支援学校などで塗り絵のワークショップも開いている。五城目町住

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